刺繡をする際に必ず行うのが「図案写し」
一般的には、図案をトレーシングペーパーに写し、コピーペーパー(複写紙)を使って布に転写します。
しかし最近では、スマホまたはipadの上に紙に書いた図案と布を置いて、トレース台代わりにして写したり。
あるいは、図案をスマホで撮影または画像データとしてスマホに取り込み、トレースアプリを使って布に写すといったデジタルな方法で図案を写す人が増えています。
これまで一般的だった図案写しが、スマホを使うことでよりキレイに簡単に図案を写すことができるため、もはや最近では当たり前になりつつある方法です。
ですが、、、
スマホの画面が小さいから、細かい部分が見づらくて正確に図案を写せない・・・
トレースアプリを使って図案を写しているけど、光が暗くて図案がよく見えない時がある・・・
図案が細かいと、図案写しに時間がかかったり、一部写し忘れてしまうことも・・・
そんなお悩みを解決するために!
この記事では、スマホやタブレットを使わずに、刺繍図案を「布に直接印刷」する裏ワザをご紹介します。
また、この裏ワザを活用して、トートバッグやポーチに図案を写す方法や注意点についてもご紹介していますので、参考にしてみてくださいね!
ご紹介する裏ワザを知ることで、小さな図案から大きな図案まで、どのような図案でも短時間で正確に写すことができるようになります♪
また、初心者の方でも簡単にできる内容なので、参考になれば嬉しいです!
【裏技】刺繡図案を「布に直接印刷して写す方法」とは?
刺繡図案を「布に直接印刷して写す」とは、家庭用プリンターを使って刺繡したい布に図案を写す方法です。
チャコペーパーやスマホを使って図案を写すなど、これまでのやり方とは全く異なります。
この方法を利用することで、以下のようなメリットがあります。
- 図案をトレースする必要がない
- 細かい図案や複雑な図案でも正確に写る
- 用意する道具が少ない
- 初心者でも簡単にできる
- どのような大きさの図案でも対応できる
- 図案が正確に写るので、クオリティーの高い作品に仕上がる
- 図案データとまったく同じ図案が自動ですぐに写せる
図案を布に直接印刷して写す方法は、「図案を写すのが苦手な人」
「細かい図案を写したい人」「家にあるものだけで図案を写したい人」におすすめです。
▼使用したプリンター
「図案を布に直接印刷」する方法を知ったきっかけ
ここからは、刺繡図案を布に直接印刷する方法を知ったきっかけを少しだけお話したいと思います。
私自身、動物の刺繡をすることが多く、よりリアルに仕上げることを目標に刺繡してきました。
何回か刺繡しているうちに、1つ気づいたことがあります。
それは「図案写しが重要」だということ。
今までスマホを使ってトレースしていましたが、どうしても毛並みがキレイに写らなかったり、写した図案に納得できなかったりと、問題だらけ。
そもそも、トレースに時間がかかるので、刺繡をしたくてもトレースだけで終わる日もありました・・・
図案写しが重要だということに気づいてからは、「どうしたら図案がキレイに写るか」を常に考えました。
最初は、「画面が大きい方がいいのでは?」と思い、スマホからipadに変えてトレースしてみたり、よりクリアに見えるように、クリアファイルを使って図案を写してみたり・・・
詳しくはこちらの記事でご紹介しています!
何かヒントがないかと、インターネットで調べても「これだ!」というような方法がなく、ずっとモヤモヤしていました。
そんな時にある一冊の本に出会いました。
それは、「4つのステッチでかんたんにできる 本物そっくり!犬と猫のリアル刺繍」です。
この本の著者であるMichelle Staub(ミッシェル・スタウブ)さんは、主に犬と猫のリアルな作品を手掛けるアメリカの刺繡作家さんです。
その作品は、刺繍糸一本一本が細かく色分けされており、毛並みはふわふわ。まるで生きているかのように動物の表情までもが繊細に描かれています。
私がこれまでに見てきたリアルな動物の刺繡作品の中で最も本物に近い作品を作られる尊敬している作家さんです。
「4つのステッチでかんたんにできる 本物そっくり!犬と猫のリアル刺繍」には、刺繡をする際に必要な道具や、ステッチの種類、動物の写真から図案を作る方法など画像付きで詳しく解説しています。
また、図案を写す方法についても、いくつか紹介されていました。
すでに知っている内容がほとんどでしたが、その中で1つ気になったのが「布に印刷する」という方法です。
この方法を知ってから、私が今まで悩んでいた「どうしたら図案がキレイに写るか」を解決することができたのです。
結果、今までよりもクオリティーの高い作品に仕上げることができるようになりました。
改めて、「図案写しが重要」だということを感じました。
今では、ミッシェル・スタウブさんのような高クオリティーの作品ができるようになることを目標に、日々取り組んでいます。
長くなりましたが、以下の項目では「布に直接印刷して写す方法」について詳しくご紹介します。
【スマホ不要】図案を布に直接印刷する際に必要な道具
必要な道具は以下の5つです。
- 家庭用プリンター(レーザー/インクジェットどちらでも可)
- 用紙
- 刺繡したい薄めの布
- はさみ
- 図案データ
用紙は、「普通紙タイプのコピー用紙+両面テープ」の組み合わせか、「マット素材のラベル紙」のどちらかを用意します。
両面テープは、薄手の普通粘着タイプを使用しましょう。
また、ラベル紙は、お使いのプリンターに対応する用紙を使用しましょう。
よく分からないという方は、レーザー/インクジェットプリンター両方に使えるラベル紙がおすすめです。
今回は、「普通紙タイプのコピー用紙+両面テープ」の組み合わせを使ったやり方を画像付きでご紹介します。
使用した家庭用プリンター「HL-L2375DW」
メーカー | ブラザー工業(Brother Industries) |
モデル名 | HL-L2375DW |
プリンター出力 | レーザー |
サイズ(cm) | 高さ18.3×幅35.6×奥行36 |
用紙の種類 | 普通紙/再生紙/ラベル紙/はがき/封筒 |
用紙サイズ | A4/レター/B5/A5/A5(横置き)/A6/はがき |
無線LAN接続 | 〇 |
私が使用したプリンターは、1908年創業の人気電機メーカー「ブラザー工業」のHL-L2375DWです。
図案を布に直接印刷するようになってから約1年間使っています。
これまで約20枚もの図案を布にプリントしましたが、今のところ紙詰まりや故障などといったトラブルなく使用できています。
「家にプリンターがない」「プリンターの買い替えを検討している」「人気メーカーだけど安いレーザープリンターを探している」という人におすすめです!
【所要時間5分】刺繡図案を「布に直接印刷」するやり方
刺繡図案を「布に直接印刷」するやり方をご紹介します。
手順を簡単に説明すると、以下の通りです。
- アイロンがけ
- 普通紙に両面テープを貼る(ラベル紙を使う場合は、必要ありません)
- 普通紙(またはラベル紙)に布を貼る
- はみ出た布を切る
- 印刷設定をする
- 図案を印刷する
- 普通紙(またはラベル紙)と布を剥がして完了
それぞれの項目のポイントや注意点を抑えるだけで、誰でも簡単に図案を写すことができますよ♪
1.アイロンがけ
刺繡したい布にアイロンをかけましょう。
大きなシワやヨレがある場合は、図案がキレイに写りません。
また、プリンターの詰まりや故障の原因となるので、できる限りキレイな状態にしましょう。
2.コピー用紙に両面テープを貼る
コピー用紙の片面4辺、真ん中3点に両面テープを貼ります。
今回使用する用紙は、A4サイズ普通紙です。
4辺に貼る際のポイントは、紙の端っこギリギリに貼ること!
※ラベル紙を使用する場合、この作業は必要ありません
3.コピー用紙に布を貼る
2のコピー用紙に刺繡したい布を貼ります。
ポイントは、2つ!
「紙と布の間に空気が入らないようにする」「シワをつくらない」こと
4.はみ出た布を切る
コピー用紙からはみ出た布を切ります。
【ココに注意】
切る時は、布や糸くずがはみ出ないよう慎重に!
5.印刷設定をする
印刷前に、プリンターの設定をします。
まず、印刷方法を「ラベル紙」設定にしましょう。
他の設定の場合、紙詰まりや故障の原因となるので要注意!
次に、用紙の設置です。
私が使用したレーザープリンター「HL-L2375DW」では、布面を下に・紙面を上にセットしました。
また、今回参考にした「4つのステッチでかんたんにできる 本物そっくり!犬と猫のリアル刺繍」でも布面を下に・紙面を上にセットしています。
お使いのプリンターによっては、設置方法が異なる場合があります。
取扱説明書を読んだり、布が付いていない普通紙でテスト印刷をするなどして、必ず確認しましょう。
6.図案を印刷する
準備ができたら印刷をします。
7.コピー用紙と布を剥がして完了
最後に、コピー用紙と布を剥がして完了です。
焦らずゆっくり剥がしましょう!キレイに剥がれますよ♪
両面テープが付いたコピー用紙は、まだ粘着が残っていてもそのまま破棄しましょう。
再利用すると、紙詰まりや故障の原因となります。
また、ラベル紙の場合も、少しもったいないかとは思いますが、再利用せずに破棄しましょう。
【完成】刺繡図案を「布に直接印刷して写す」とどうなる?
図案データと比較しても、くっきり・はっきり図案が写っていることが分かります。
裏面はというと・・・
両面テープ残りや、インクが染み込むことなく、キレイに!
両面テープは、薄手の普通粘着タイプを使用しているので、テープのベタベタが残りません♪
刺繡枠にはめてみた感じ。
このまま刺繡を始められるので、非常に便利です!
図案を布に直接印刷する際の3つの注意点
ここからは、図案を布に直接印刷する際の3つの注意点についてご紹介します。
- 写した図案を消すことはできない
- 使用状況や保管環境によっては図案が消えてしまう
- プリンターが故障する可能性もあることを忘れない
まず一つ目の注意点は、基本的に一度印刷したら「写した図案を消すことはできない」という点です。
水で消えるチャコペンや、布専用チャコペーパーのように、写した図案を簡単には消すことが出来ません。
どうしても図案を消したい場合は、何度か強く擦ることで図案が薄くなります。
二つ目の注意点は、「使用状況や保管環境によっては図案が消えてしまう」という点です。
印刷した図案は摩擦に弱いので、強く擦ったり、他の刺繡道具と一緒に長期間保管すると、図案が薄くなったり、消えてしまうことがあります。
特に保管の際は、要注意!
刺繡糸やハサミなど他の道具とは別にして保管しましょう。
三つ目の注意点は、「プリンターが故障する可能性もあることを忘れない」という点です。
通常、布への印刷は専用プリンターを使って印刷するものなので、基本的には一般家庭用プリンターでは対応していません。
そのため、今回ご紹介した方法は、必ずといっていいほど詰まりや故障がない。とは言い切れませんので、使用する際は自己責任でお願い致します。
しかし、「高いプリンターを使用しているのでどうしても壊したくない」といった心配がある場合は、例えば刺繡の図案写し専用プリンターとして1台別で揃えることをおすすめします。
私が使用したプリンター(HL-L2375DW)であれば、1万円台で購入できるので、他のメーカーに比べ、比較的安価で購入できます。
また、今回参考にした「4つのステッチでかんたんにできる 本物そっくり!犬と猫のリアル刺繍」でも、私と同じメーカー「ブラザー工業」のレーザープリンターを使用していましたので、おすすめです。
【おまけ】トートバッグやポーチに直接刺繡する場合
刺繡は布だけでなく、「トートバッグや服、ポーチに直接刺繡したい」という時がありますよね?
そのような場合でも、家庭用プリンターを使って図案を印刷することができるのでしょうか?
結論から言うと、トートバッグや服、ポーチに直接印刷することはできません。
しかし、「あるもの」を使用して図案を印刷し、刺繡したいトートバッグやポーチの上に印刷した図案をのせてそのまま刺繡することができます。
これからご紹介する内容は、トートバッグやポーチに刺繡する際に個人的に行っている方法なので、参考程度によろしければご覧ください。
必要なもの
- 両面テープ(薄手の普通粘着タイプ)
- 普通紙
- ハサミ
- 図案データ
- 家庭用プリンター(レーザー/インクジェットどちらでも可)
- 接着芯またはピーシングペーパー
「あるもの」とは、接着芯/ピーシングペーパーです!
接着芯を使用するメリットは、刺繡中に図案が破けず、最後までキレイに縫える。
デメリットは、刺繡後に残った接着芯をハサミで切らなければならない。また、線のみの刺繡には接着芯が残ってしまうため、不向き。
ピーシングペーパーをを使用するメリットは、刺繡後に残ったピーシングペーパーを簡単に破いて処理できる。
デメリットは、きちんと固定していないと、刺繡中に図案がずれてしまう。
手順
上記でご紹介した「【所要時間5分】刺繡図案を「布に直接印刷」するやり方」と基本的には同じ方法ですが、一部違う部分があるので、ポイントや注意点を含め手順をご紹介します。
手順を簡単に説明すると、以下の通りです。
- 普通紙に両面テープを貼る
- 普通紙に接着芯(またはピーシングペーパー)を貼る
- はみ出た接着芯(またはピーシングペーパー)を切る
- 印刷設定をする
- 図案を印刷する
- 普通紙と接着芯(またはピーシングペーパー)を切って完了
1.普通紙に両面テープを貼る
普通紙(コピー用紙)に両面テープを片面4辺、中の2箇所に貼ります。
中の2箇所に両面テープを貼る時は、図案が写る部分には貼らないでください。
2.普通紙に接着芯(またはピーシングペーパー)を貼る
普通紙(コピー用紙)に接着芯またはピーシングペーパーを貼ります。
この時に、接着芯の場合は、ノリ(ツヤのある)部分を下(両面テープ側)にして貼りましょう。
ピーシングペーパーの場合も、ツヤのある部分を下(両面テープ側)にして貼りましょう。
逆に貼ってしまうと、印刷時に接着芯/ピーシングペーパーがプリンター内部に貼り付いてしまう可能性があるので、要注意!
しっかりと空気を抜きながら貼ります。
布とは違って素材が薄いので、貼り直しができませんので注意しましょう。
3.はみ出た接着芯(またはピーシングペーパー)を切る
布の時と同じく、接着芯やピーシングペーパーがはみ出ないように注意しましょう。
普通紙の形ピッタリになるように切りましょう!
4.印刷設定をする
今回は、布よりも素材の厚みが薄いので、「普通紙(厚め)」に設定します。
用紙設定は、布の時と同じく、私が使用したレーザープリンター「HL-L2375DW」では、布面を下に・紙面を上にセットしました。
5.図案を印刷する
準備ができたら印刷します。
6.普通紙と接着芯(またはピーシングペーパー)を切って完了
ピーシングペーパーの場合は特に、両面テープが付いている箇所を剥がすと、写真のようにビリビリに破けてしまいます。
そのため、以下の画像のように、図案の形に添ってハサミで切り取りましょう。
切り取ったら、普通紙に貼り付いたピーシングペーパーを剥がします。
ペロッとキレイにめくれますよ!
接着芯の場合は、切り取らずにそのままゆっくり剝がしましょう。
▼ピーシングペーパー
▼接着芯
【印刷後は】トートバッグに刺繡!
こちらは接着芯の場合です。
トートバッグの上に図案を印刷した接着芯をのせ、そのまま刺繡枠と一緒にはめて刺繡します。
刺繡後は、不要な接着芯をハサミで細かく切る必要がありますが、布同様、正確に縫うことができます。
こちらは、ピーシングペーパーです。
セロハンテープや待ち針でピーシングペーパーを固定して、そのまま縫います。
刺繡後は、残ったピーシングペーパーを破るだけなので、簡単です。
まとめ
以上、刺繍図案を「布に直接印刷」する裏ワザや注意点、トートバッグやポーチに直接刺繡する場合についてご紹介しました。
今回ご紹介した内容は、家にあるもので誰でも簡単・短時間で正確に図案を写すことができるので、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか?
面倒なトレースをする必要がなくなるので、印刷したらすぐに刺繡を始められますよ!